コリアンダーは料理に欠かせないスパイスで、カレーのスパイスとしても知られています。
コリアンダーはその種子だけでなく、葉もパクチーや香菜(シャンツァイ)などと呼ばれて、ヘルシーな食材として人気ですね。
反対にコリアンダーの葉の匂いがどうしてもダメ!という人も多いでしょう。こればっかりは、人ぞれぞれの味覚・嗅覚がありますからね。
私も子供のころはパクチーが嫌いでした。なぜこんなに臭い葉を食べるのかと…
ところがそれも今は昔。今では立派なパクチー好きとなって、パクチーサラダももりもり食べてしまいます!
それではさっそく、いつものようにコリアンダーを詳しくみていくことにしましょう。
ちなみに今回は、コリアンダーシードとコリアンダーの葉(パクチー)の話が同時に進みます。パクチーとあった場合には葉を指しますが、コリアンダーとあった場合には、主に種子を指すと覚えておいて下さい。
1.コリアンダーの名前と歴史
コリアンダーは、中東から地中海東岸あたりが原産地とされる食用植物で、茎や葉からはかなり独特な香りを放ちます。
成長すると高さは50cmほどになり、初夏に白い花を咲かせるセリ科の植物です。
この種子はスパイスとして古くから使われてきていて、紀元前16世紀のエジプトの医薬書に登場するほか、大プリニウスの「博物誌」にもエジプト産のコリアンダーという記載があります。
エジプトでは、あの有名なツタンカーメン(トゥト・アンク・アメン)王の墓からもコリアンダーが出土しました。
ツタンカーメン王の両親は兄妹であったこともあり、ツタンカーメンは身体が弱く、身体的な欠陥も多く抱えていました。
そして死ぬ前にはマラリアにかかり、その熱をとるためにコリアンダーを服用していたそうです
コリアンダーは英語のcorianderのことですが、corianderはラテン語のcoriandrumから来ていて、coriandrumは古代ギリシャのkoriannonが語源になっているようです。
この英語のcorianderはコリアンダーシードにもコリアンダーの葉にも使う名称です。
最近の日本では、コリアンダーの葉はタイ語から来た「パクチー」や中国語から来た「香菜(こうさい、シャンツァイ)」を使うケースをよく見かけます。
反対にスーパーの食材売り場などで、葉のことをコリアンダーと書かれて、一瞬分からないという人もいるでしょう。
このコリアンダーの葉は、ハーブの一種ですが、それ自体を大量に食べるパクチーサラダや香菜サラダとしても使われるところが特徴的ですね。
日本ではもともと、コエンドロと呼ばれていました。これはポルトガル語のcoentroに由来するそうで、中世以降の呼び名です。
さらに時代をさかのぼると、延喜式などではコシという名前で登場していますが、この呼び名はおそらく漢名「胡すい」から来ていると思われます。そしてこの漢名は、前漢時代に張騫が西域からもたらしたもの、というところに由来するようです。
その後の日本では、つい最近までコリアンダーは料理ではなく、医薬品として用いられていました。
2.コリアンダーの香りや味
コリアンダーをコリアンダーらしくしている一番の要素は、あの香りです。
コリアンダーの葉や茎、そして成熟する前の果実には、その香りが含まれています。
このフレッシュハーブとしてのコリアンダーの匂いの元は、オクタナールとコリアンドロールという芳香成分です。
これを芳香と感じるか、異臭と感じるかは本当に個人差があるようです。
また最近では、クセの少ない香りのコリアンダーも開発されているようで、大人になってから食べられるようになったという例も数多くみます。
一方のシードの香りは、元の果実の香りから乾燥させることによってレモンとセージを合わせたような、軽やかで爽やかな香りに変貌します。
このコリアンダーシードは、料理のスパイスとして大活躍します。
私たちの身近なところでは、コリアンダーはカレー粉の主な原料として使用されます。主なメーカーのカレー粉の原材料は、ターメリックの次にコリアンダーが記載されていて、主要原料と言えるのではないでしょうか。
もちろん、何順で書かれているか分かりませんが、五十音順でないことは確かです…。分量も好みがありますからね。
そして、カレーの祖国インドで使われるミックススパイス「ガラムマサラ」には、コリアンダーが入っていたりいなかったりしますが、コリアンダーとクミンの入っているガラムマサラは、まさにカレー粉の香りがするのです。
3.コリアンダーの育て方
コリアンダーは日本で栽培できるスパイス・ハーブです。
9月~10月頃に、水はけの良い土を鉢に入れ、元肥を施します。
コリアンダーの種は固い殻で覆われていて、中には二つの種が入っています。
タネ蒔きの前に、種子を板などで挟んでゴリゴリとやって割ってから一晩水に漬けておきましょう。
鉢の場合は、5粒ほど蒔いて、薄く土をかぶせます。
土が乾いてしまわないように、表面が乾いたら水をやりましょう。
芽が出て育ってきたら、どんどん間引きしましょう。間引いたものはフレッシュハーブとして使いましょうね!
コリアンダーにはアブラムシやアオムシも付きます。見つけたらすぐに駆除するようにしましょう。
そして、少し赤味がかった白い花が咲いたら、果実ができます。この果実が茶色くなったら、株ごと刈り取りましょう。
4.コリアンダーシードの作り方
コリアンダーは、植物の高さもありませんし、種子をそのまま使うのでスパイスとしての製法はいたって簡単です!
株ごと収穫したコリアンダーを紙の袋などにくるんで、そのまま乾燥させます。
しっかり乾燥させると、爽やかなスパイスの香りが漂ってきますので、種を取ってビンや密封容器で保存します。
5.コリアンダーを使った料理レシピ
コリアンダーはレストランなどで食べる料理には使われていますが、家庭料理で頻繁に使う!というところは少ないかもしれませんね。
でもちょっと使ってみるだけで、いつもの食卓が一変するかもしれませんよ!
今回は、比較的簡単にできるレシピを揃えてみました。
具材もなるべく揃えやすいものにしていますので、ぜひ作ってみて下さい!
5-1.トムカーガイ
タイ料理でスープと言えば、トムヤムクンが有名ですね。
しかしタイには他にもたくさん名物スープ料理があるんです。
今回はその中から、日本にはないココナッツミルクベースのスープ「トムカーガイ」をご紹介します。
ココナッツミルク味なのに甘くない、さっぱりとしたスープですよ!
材料:4人分
鶏もも肉 400g コリアンダーの葉 適量 マッシュルーム 4個 しょうが 80g 乾燥赤唐辛子 4本 こぶみかんの葉 4枚 ココナッツミルク 1缶 レモングラス茎 1本 レモン 1個 トマト 2個 ナンプラー 適量 鶏ガラ 大さじ1 |
(1)鶏もも肉は一口大、レモングラスは大きめの斜め切り、しょうがとトマトは大きめ、玉ねぎは少し厚みのあるスライス、マッシュルームは半分にカット、レモンは絞っておく
(2)鍋にレモングラス、しょうが、玉ねぎ、赤唐辛子、こぶみかんの葉を入れ、ひたひたの水を加えて中火で煮る
(3)玉ねぎに火が通ったら、鶏肉、マッシュルーム、鶏ガラを加えて、さらに煮る
(4)鶏肉に火が通ったら、ココナッツミルク、ナンプラー、レモン汁を加え、混ぜ合わせながら数分煮る
(5)全体が良く混ざったらトマトを入れ、ひと混ぜしたら火を止める
(6)スープ皿にとりわけ、コリアンダーの葉を盛り付けて完成!
5-2.オリジナルカレー粉
コリアンダーといえば何と言ってもカレー粉です!
カレーは市販のルゥから作るという人が多いと思いますが、本格的なカレーだって、このカレー粉さえ作っておけば簡単にできます。
分量は好き好きありますので、あくまでも参考程度にして、自分の好みでいろいろ変えてみましょう!
ここではコリアンダーを使ったカレー粉の作り方をご紹介します。ガラムマサラの作り方は下のリンク先を参照して下さい。
材料:6人分
コリアンダー 小さじ1 シナモン 小さじ1/2 ガーリック 小さじ1/2 ターメリック 大さじ1 クミン 小さじ1 ジンジャー 小さじ1 カルダモン 小さじ1/2 ローレル 小さじ1/2 ブラックペッパー 小さじ1/2 チリペッパー 小さじ1/2 クローブ 小さじ1/2 |
(1)スパイスを用意し、ホールや葉の状態のものは、予めミルなどで粉末にしておく
(2)フライパンにすべてのスパイスを投入して、火にかけます
(3)弱火でスパイスを焦がさないようにじっくり火を入れます
(4)スパイスの香りがたってきたら火を止めて完成!
(5)カレーを作る際には、直接投入してもいいですが、事前にフライパンで同量のバター、薄力粉と混ぜてルゥを作っておけば、とろみのあるカレーが出来ます!
(6)辛みはチリペッパーを増減、あとはお好みで調整して下さい
★レシピの裏ワザ★カレー粉は日本独自の調味料と思われていますが、Curry Powderというものは世界中に存在します。でも、そのスパイスの配分はまちまちで特に決まりや基準はないのです。このレシピもあくまでも一例ですから、自由にアレンジしてみて下さいね!
5-3.蒸し鶏のパクチーソース
アジアの暑い地域では、蒸し鶏とライスをセットにした料理がたくさん食べられていますね。
海南チキンライスとかカオマンガイとか。みなさんは食べたことありますか?
日本もだんだん温暖化しているようですから、そのようなメニューが求められているかもしれませんね。
そこで、コリアンダーの葉(パクチー)と鶏もも肉を使った料理を紹介します。
材料:2人分
鶏もも肉 1枚 コリアンダーの葉(パクチー) 好きなだけ 酒 適量 塩 適量 しょうが 1片 にんにく 1片 乾燥赤唐辛子 1本 ナンプラー 小さじ1 レモン汁 小さじ1 |
(1)鶏もも肉を開いて、筋を切っておく
(2)耐熱皿に鶏もも肉を置き、軽く塩を振って擦り込み、さらに酒を皿に入れる
(3)500Wの電子レンジで4分加熱したら、鶏肉を裏返してさらに4分加熱する
(4)コリアンダーの葉(パクチー)、にんにく、しょうがを細かく刻み、乾燥赤唐辛子を輪切りにする
(5)鍋にコリアンダーの葉(パクチー)、ナンプラー、塩、刻んだにんにくとしょうが、乾燥赤唐辛子、酒を入れて、5分ほど弱火~中火で焦げないように炒める
(6)蒸し鶏から出た汁を加えて、ひと炒めしてソースは完成。味が足りなかったら塩で調整する
(7)蒸し鶏を皿に取り、上からソースをゆっくりかけ、お好みでさらにコリアンダーの葉(パクチー)を山盛りにして、最後にレモン汁をかけまわして完成!
★レシピの裏ワザ★この蒸し鶏のパクチーソースは、これ単体でもいけますが、冷麺や冷製パスタなどとの相性も抜群です。麺にソースを絡めて、上に蒸し鶏のパクチーソースをポンと載せるだけで、食欲をかきたてる夏のさっぱりメニューになります!