パセリはハーブの一種ですが、とてもユニークな立ち位置のハーブです。
一番の特徴は、このハーブは主に「添え物」で見ることが多い、ということです。いろいろな料理に生のパセリが脇にちょこんと添えられて出てきます。お弁当にも入っていますね。生のパセリは香りもそんなにきつくありませんから、本当に彩りがメインのハーブとして使われています。
そのパセリを乾燥させたドライパセリは、料理の上に振られたりしてようやくハーブらしさを見せてくれます。
さあ、今回はこのとってもユニークなハーブ「パセリ」を詳しくみることにしましょう!
1.パセリの名前と歴史
パセリという名前は英語のParsleyの日本語読みです。この英語のParsleyは、古英語petersilie と古フランス語peresil が合わさったもので、どちらも中世ラテン語のpetrosilium に由来します。petrosilium はラテン語のpetroselinum が語源で、petroselinum はギリシャ語のpetroselinon をラテン読みしたもので、「岩パセリ」という意味を持っていました。
地中海が原産地で、ヨーロッパ各地で見ることができます。成長すると20~30センチになるハーブで、紀元前から薬用や料理に使われていたようです。
日本には江戸時代にオランダ人が持ち込んだとされ、パセリの和名を「オランダゼリ」と呼んでいます。中国では香芹と呼ばれているようです。
一般に日本でパセリというと、葉の縮れたものを指しますが、これはモスカールドパセリと呼ばれるもので、ヨーロッパで主流の葉が縮れていないパセリは、イタリアンパセリと呼ばれています。
パセリには他の種類もあり、セロリのような太い葉柄を食用にするものや、根茎を食べる種類もあります。
そんな添え物的な扱いのパセリですが、実は栄養豊富なハーブでもあるのです。
100g当たりの栄養価で比較した場合、ビタミンCはレモンの2倍以上、鉄分はほうれん草の3倍以上、ビタミンAの元となるβカロテンはにんじんと同じくらい含まれています。
ですから、パセリを残すとか捨てるというのはもったいないのです!美肌や貧血にもプラスの効果がありますので、ぜひ、むしゃむしゃと残さずに食べてしまいましょう。
またパセリにはピネン、アピオールといった成分が含まれています。ピネンは特有の爽やかな香りを持っていて、酸化させることで医薬品や香料の原料となっています。
もう一つのアピオールですが、かつては月経不順治療や妊娠中絶に使用されていました。このアピオールには月経を回復させる作用があるため、妊娠中の女性が大量に摂取すると流産の原因になるとされていました。ただし食事などに出てくるような少量のパセリでは全く問題はないそうです。
またパセリはすりつぶしてペースト状にして、傷や痛み止めとしても使われていたそうです。やったことは無いですが、効果がありそうな雰囲気はありますね!
2.パセリの香りや味
パセリの少し苦みを伴う香りと味は、子どもにパセリが嫌いと言わせるだけの十分な根拠を与えていると思います。噛むと苦い味が口中に広がる感じがして、私も子どもの頃は少し苦手でした。
パセリの成分であるピネンとアピオールには、香りとともに抗菌作用があると言われ、口臭防止効果が認められています。
あの苦い味によって、口の中が清浄されることになるんですね…
モスカールドパセリとイタリアンパセリの味ですが、味の基本はほぼ同じで、葉の縮れによって食感が大きく異なっています。
その他のパセリはどうなのでしょう?さきほど触れた葉柄を食べる南イタリアのパセリは「ナポリタンパセリ」とも呼ばれ、味はパセリですが、セロリのような食べごたえです。また根茎を食べるドイツのパセリは「ハンブルグパセリ」と呼ばれています。パセリの香りがしますが、にんじんと同じように煮物などに使います。
3.パセリの育て方
パセリの栽培は家庭でも容易に実現できます。最近では、パセリをペットボトルを使って水だけで育てられるキットも販売されているようです。
まず、パセリの苗を購入します。近所の園芸店や通販でも比較的簡単に手に入れられると思います。
深さが20センチ以上あるプランターに土止めのネットを敷き野菜用の用土を入れます。そして苗を静かにポッドから外してプランターに植え、たっぷりと水をやります。
水やりは、冬は控えめに、春夏も水が溜まらない程度に与えます。日なたよりも、明るい日陰で育てるとやわらかい葉に成長するのでおすすめです。
すぐに葉が茂ってくるので、外側の葉をこまめに間引いて(収穫して)、風通しを良くしてあげましょう。ただし、成長するためには葉を最低でも10枚ほどは残しておく必要があります。
初夏に花が咲きます(とう立ち)が、咲かせていると葉が育たなくなってしまうので、早めに摘み取ってしまいます。
春から秋は成長度合いに合わせて液体肥料などを与えて下さい。
そして、パセリを好む害虫がいます。キアゲハの幼虫です。あっという間に葉が無くなってしまいますから、見つけたら早めに補虫してしまいましょう。パセリのまわりにキアゲハが飛んでいた場合などは要注意です!
4.ドライパセリの作り方
パセリはフレッシュハーブとしても使いますが、ドライパセリの用途もたくさんあります。ここでは電子レンジを使ったドライパセリの作り方をご紹介します。
(a)パセリを良く洗って、キッチンペーパーでしっかり水気をふき取る
(b)太い茎は使わないので、葉の先端を太い茎から摘まみ取っておく
(c)耐熱皿にキッチンペーパーを敷き、その上にパセリを重なりがないように置く
(d)電子レンジで2分(500W)加熱
(e)いったん皿を取り出し、パセリを裏返して、電子レンジでさらに1分(500W)加熱
(f)まだ湿り気があるようなら、10秒単位で追加加熱
(g)パセリがカサカサになったら取り出して、キッチンペーパーごと手で良く揉む
(h)全体が粉々になったら完成!瓶などで保存する
どうでしょうか?わりと簡単にできてしまうんですね!自家製ドライパセリ、肉料理にも魚料理にも使えるのでとても便利ですよ。
5.パセリを使った料理レシピ
パセリは様々な料理に「添え物」的に使われていますが、ここではパセリが主役か主役に近い役割を担っているレシピを紹介したいと思います。
いつものように、レシピはご家庭でもできる簡単バージョンでご紹介します!
5-1.パセリとジャガイモのニョッキ
パセリを使ったレシピの最初は、ニョッキです。パセリをニョッキの生地に練り込んでパセリの風味を楽しみたいと思います。
ニョッキ自体も作りますので、そのまま召し上がっても良いですし、トマトソースやクリームソースなどをかけても美味しくいただけますよ!
材料:2~3人分
ポテト 400g 玉子 1個 パセリ 1~2本 小麦粉 120g 片栗粉 小さじ1 バター 20g 塩コショウ 適量 パルメザンチーズ 適量 ドライパセリ 適量 |
(1)ジャガイモを軽く洗い、包丁でぐるっと1周浅い切れ込みを入れる
(2)水分を含んだジャガイモをそのままラップに包み、耐熱皿に乗せ、レンジで3分加熱する。その間にパセリをみじん切りにしておく
(3)ジャガイモを裏返してさらに3分加熱する
(4)ジャガイモが柔らかくなったら、レンジから取り出して、熱いうちに切れ込みから皮を剥く
(5)耐熱ボウルにジャガイモを入れ、丁寧につぶす
(6)ボウルに玉子、パセリ、塩コショウ、小麦粉、を加え、よく混ぜあわせる
(7)小さい団子を作る要領で丸め、フォークを使って押しつぶす
(8)鍋に湯を沸かし、ニョッキを入れる。火が通ると浮いてくるのですぐに引き上げて冷水にとる
(9)フライパンにバターを溶かし、ニョッキを軽く転がしてバターをまとわせる
(10)ニョッキを皿に取り、パルメザンチーズとドライパセリを振り完成!
5-2.パセリのかき揚げ
ご家庭でパセリが余って困ってしまった、という経験はありませんか?そんな時には、パセリのかき揚げを作ってみてはいかがでしょうか。
パセリの苦みと天ぷらの甘味が結構いい感じにマッチするんです。そうそう天ぷらには春菊の天ぷらなんて組み合わせもありますね。
手順も簡単。ぜひ試してみて下さい!
材料:2枚
パセリ 2~3本 玉ねぎ 1/2個 スライスハム 4枚 スイートコーン 1/2カップ 小麦粉 適量 水 適量 塩コショウ 適量 |
(1)パセリの葉を指で摘まんでちぎっておく
(2)玉ねぎを薄切りにし、ハムを一口サイズに切る
(3)ボウルに小麦粉、水(入れすぎない)、塩コショウを入れ軽く混ぜあわせて衣を作る
(4)フライパンに油を入れ、180℃に熱する
(5)ボウルにパセリ、玉ねぎ、ハム、スイートコーンを入れ、まとめる
(6)ボウルの具材をスプーンで取り、フライパンに入れ、玉ねぎに火が通ったらすぐに取り出す
(7)粗熱が取れたら完成!
5-3.ラムチョップのハーブクラスト
さて、最後のパセリを使ったレシピですが、ちょっと本格的に見えるレシピです。
ラムチョップなんて買ったことない!という方もいらっしゃるかも知れませんが、少し大きなお肉屋さんでは普通にケースに並んでいたりしますので、これを機にトライしてみるのもいいかもしれません。
材料:2人分
ラムチョップ 骨4本分 パセリ 2本 ローズマリー 2本 ニンニク 2片 パン粉 1カップ 無塩バター 20g 塩コショウ 適量 オリーブオイル 適量 ウスターソース 適量 赤ワイン 適量 |
(1)ラムチョップに塩コショウする
(2)フライパンにオリーブオイルを熱し、脂肪側を下にして中火~強火で焼き目をつける
(3)パセリ、ローズマリー、ニンニクをみじん切りにして、パン粉、バター、オリーブオイルと混ぜあわせてクラストを作る
(4)ラムチョップの脂肪側にクラストを押し付けるように乗せていく
(5)オーブンを200℃に予熱し、パン粉側を上にして20分~30分焼く
(6)ソースパンにウスターソースと赤ワインを熱し、2の油を加えて煮詰めてソースを作る
(7)焼きあがったラムチョップを皿に盛り、ソースを添えて完成!