セージ

セージは薬用ハーブの代表格、そして万能薬だった


セージというハーブは、あまり見たことがないという方も多いかと思います。少しハーブコーナーが充実しているところでないと置いてないようですね。

このセージというハーブは地中海沿岸が原産地で、古くから薬効が知られていました。ですから栽培が始まったのも早かったようです。

ヨーロッパではとても知られたハーブですので、セージを使った料理もたくさんあります。最後にそれらも紹介しますね!

1.セージの名前と歴史

2.セージの香りや味

3.セージの育て方

4.自家製ドライセージの作り方

5.セージを使った料理レシピ

 

1.セージの名前と歴史

セージの葉
フレッシュセージの葉

セージというハーブはシソ科の多年草で、古代から魔除け、毒消し、安産祈願などに用いられてきました。サルビアの近縁で、学名をSalvia officinalisといい、セージの和名もヤクヨウサルビアと呼びます。

ハーブとしての呼び名「セージ」は、英語のsageから来ていますが、sage自体は多くの種類があるため、common sage、garden sage などとも呼ばれています。

古代ギリシャの哲学者テオプラストスの著作「植物誌」(紀元前3世紀頃)にも2種類のセージが登場していますし、大プリニウスの「博物誌」(1世紀)にはサルビアとして、局所麻酔や利尿薬に使われていると書かれています。

古代ローマでは、セージは万能薬と認められていて、行軍中もセージの種を蒔きながら進んだり、蛇にかまれた際の毒消しとして使われたり、長生きの薬として愛されていました。

セージが古くから病気の治療に使われてきたことから、セージの語源にはsalvare(治療の意味)があげられることも多くあります。

またカール大帝がスパイスやハーブの栽培を奨励した9世紀には、各地のカロリング朝フランク王国の修道院にセージを含む薬用植物園が作られて栽培されていたようです。

なかでも、ライヒェナウ修道院長のヴァラフリート・ストラーボは、その時代の植物園をうたった「Hortulus」という詩を残しています。その中には、セージ(サルビア)、ヨモギ、フェンネル、ケシ、ミントなどの植物がうたわれていました。

セージについては、花の美しさと甘い香り、そして様々な病気に対しての薬効についてうたっていました。セージが誌の一番手にもなっていて、植物園で重要な役割をはたしていたことが分かります。

このストラーボの植物園のイメージの元となったのが、「ザンクト・ガレンのプラン」(The Plan of St. Gall)と呼ばれる植物園の設計図です。

ザンクト・ガレンのプラン
ザンクト・ガレンのプランの一部抜粋

このプランはストラーボが修道院長に就任する前にライヒェナウ修道院で作られたもので、修道院と薬用植物園が見事に融合している姿を想像することができます。ライヒェナウ修道院は2000年に世界遺産に登録された有名な修道院です。

そのプランには縦112 cm横77.5 cmの紙に、庭園、壁、フェンス、小路などが詳細にレイアウトされ、330もの記号がそれぞれの解説にリンクしています。そしてその左上にHerb Garden の図が示され、詳細にはセージが一番手として記載されています。

そしてセージは、1753年に分類学者カール・リンネによって詳細に定義されることになりました。

一方、東洋ではセージが貴重なハーブとして高値で取引されていました。中国ではこのセージのことを「薬用サルビア」(薬用鼠尾草)と呼んでいて、17世紀頃の中国ではセージの葉1枚を得るために大量の茶葉を支払ったという話が残っているほどです。

セージは日本へは明治時代に入ってきたと言われていて、あまりハーブとしては一般化しませんでしたが、近年ではハーブティーとしてよくみかけるようになりました。

 

2.セージの香りや味

セージ

セージは、ハッカのような爽やかな香りを放ちます。そのため、古くからパセリやローズマリーなどと共に、ポピュラーなハーブとして使われてきました。

セージは香気成分としてツヨンや、ローリエなどと同じシネオールなどを含んでいます。

このセージは特にソーセージに防腐効果と香りづけに使われてきたのは有名なところで、そこからソーセージという名前がついた、という説もあるほどです。

セージには強い抗酸化作用があります。このことは古代から不老長寿の薬と言われてきたことにも合致しますね。

 

3.セージの育て方

セージは日本でも栽培できるハーブです。種も売られていますが、育ちが悪い場合があるので、苗木を植えるのがおすすめです。

暑い夏が終わった9月後半から10月頃に、水はけの良い土を入れた鉢やプランターに植え替えます。その際に緩効性の肥料を土に混ぜ込んでおき、あとは春以降に月に一度固形肥料を与えるようにしましょう。

セージ

セージは日なたを好みますが、真夏のような日差しには弱いので、適時場所を置き換えて対応しましょう。

5月頃に花が咲きます。花が咲き終わったら、茎ごと切り落として梅雨に備えます。蒸れに弱いので、他の邪魔な枝も切り落として、風通しを良くしておきましょう。

冬場は、外に出していても大丈夫な場合が多いですが、霜には耐えられませんので、日の当たる時間以外は室内に取り込むなどしたほうが安心です。

またセージは根の成長が早い植物ですので、1年に1度、秋に植え替えをおすすめします。土を軽く落として新しい土と緩効性の肥料を入れた大き目の鉢に移し替えましょう。

 

4.自家製ドライセージの作り方

セージはフレッシュハーブとしてもドライハーブとしても使うことができます。ここでは保存がきくドライセージの作り方を紹介したいと思います。

自家製ドライセージ
自家製ドライセージ

ベースはドライパセリでやったの方法と一緒です。

参考:「パセリがメインのレシピを紹介します 4.ドライパセリの作り方」

(a)セージを軽く洗ってほこりを落とし、キッチンペーパーでしっかり水気をふき取る

(b)茎から葉を指で摘まんで葉だけを使用する

(c)耐熱皿にキッチンペーパーを敷き、その上にセージを重なりがないように置く

(d)電子レンジで2分(500W)加熱

(e)いったん皿を取り出し、乾燥して縮れたセージの葉を裏返したり、間隔を広げたり整頓する。電子レンジでさらに1分(500W)加熱

(f)まだ湿り気があるようなら、10秒単位で追加加熱

(g)セージがカサカサになったら取り出して、敷いていたキッチンペーパーごと手で良く揉む

(h)全体が粉々になったら完成!瓶などで保存する

これで完成なのですが、セージからとても良い香りがしませんか?これが自家製ドライセージの良さなんですよ~!

 

5.セージを使った料理レシピ

セージはドイツ料理やイタリア料理に欠かせないハーブです。ここではその中から、メジャーなレシピを3つご紹介したいと思います。

5-1.サルティンボッカ

5-2.ブレックファスト・ソーセージ

5-3.じゃがいもベーコン炒め

 

5-1.サルティンボッカ

サルティンボッカ

サルティンボッカは、イタリア語で「口に飛び込む」という意味で、簡単に調理できる一品です。フレッシュセージをそのまま使いますので、セージのハーブらしさを味わうこともできます。

今回は、豚肉を使ったサルティンボッカのレシピをご紹介したいと思います。

材料:2人分

豚ヒレ 200g
セージの葉 4枚
生ハム 4枚
塩コショウ 適量
オリーブオイル 大さじ2
白ワイン 大さじ3
レモン 一切れ

(1)豚ヒレ肉をラップに包んでまな板の上に置き、麺棒などで叩いて5mmくらいの薄さになるように伸ばす

(2)豚ヒレ肉を4等分して軽く塩コショウする

(3)豚ヒレ肉にセージの葉を1枚ずつ乗せる

(4)セージの葉の上から生ハムを乗せ、軽く押してくっつける

(5)フライパンにオリーブオイルを熱し、豚肉の側を先に両面焼く

(6)豚肉をフライパンから取り出して、フライパンに白ワインを加え強火で煮詰める

(7)豚肉をフライパンに戻してソースにからめたら、お皿に盛りレモンを絞って完成!

 

5-2.ブレックファスト・ソーセージ

ブレックファスト・ソーセージっていったい何だろうと、文字だけ見ると分かりづらいと思いますが、マクドナルドの朝食を食べたことがある人なら分かるかもしれません。

そうです、あれです!あのソーセージ・マフィンなどでマフィンの間にはさまっているハンバーグのようなものです。あれがブレックファスト・ソーセージなんです!

作り方は簡単ですので、セージを使ってやってみましょう。

材料:5~6枚分

豚ひき肉 400g
セージの葉 4~5枚
タイム 1~2本
ローズマリー 1~2本
ナツメグパウダー 小さじ1/2
塩 小さじ1
黒コショウ 小さじ1/2
砂糖 小さじ1
パン粉 1/2カップ
牛乳 50cc

(1)セージ、タイム、ローズマリーをなるべく細かいみじん切りにする

(2)ボウルにパン粉を入れ、牛乳を加えて良く混ぜる

(3)ボウルに残りの材料を全て加えて良く混ぜる

(4)好みの大きさに分け、ハンバーグの要領で平たくまとめる

(5)フライパンを熱し、弱火~中火で両面焼き、中までしっかり火を通して完成!

(6)バンズやホットケーキに挟んだり、スクランブルエッグなどと盛り付けたり、自由にアレンジしましょう

 

5-3.じゃがいもベーコン炒め

セージを使ったレシピ、最後はしっかりめのおかずになる料理をご紹介しましょう。

家にあまっている食材でできますので、足したり引いたりと素材を試してみて下さい。

ジャガイモの

材料:2人分

ジャガイモ 3個
ベーコン 4枚
ブロッコリ 適量
ドライセージ 小さじ1
ドライローズマリー 小さじ1
ニンニク 1かけ
乾燥赤唐辛子
塩 小さじ1/2
オリーブオイル 大さじ1
黒コショウ 適量
ドライパセリ 適量

(1)ジャガイモを軽く洗い、包丁でぐるっと1周浅い切れ込みを入れる

(2)水分を含んだジャガイモをそのままラップに包み、耐熱皿に乗せ、レンジで3分加熱する。その間にパセリをみじん切りにしておく

(3)ジャガイモを裏返してさらに3分加熱する

(4)ジャガイモが柔らかくなったら、レンジから取り出して、熱いうちに切れ込みから皮を剥く

(5)ベーコンを1cm幅に切り、ニンニクをみじん切りに、赤唐辛子を輪切りに、ブロッコリは小房に分けておく

(6)フライパンにオリーブオイルを熱し、ニンニクと赤唐辛子を加えて弱火で香りを出す

(7)香りがたってきたら、ベーコンを加え中火で良く炒める

(8)ジャガイモ、ブロッコリを加え、ドライセージ、ドライローズマリー、塩を加えてひと炒めする

(9)皿に盛って、黒コショウとドライパセリを振ったら完成!


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