ガランガル

タイ料理にかかせないガランガル


ガランガルというスパイスは多くの日本人にとって馴染みのないスパイスかと思います。タイに住んでいたとか、タイ料理に興味を持っていたりしないとなかなか出会えない謎めいたスパイスなのです。

お店ではガランガルとかガランガー、タイショウガなどと書かれて売られていますが、日本での販路はかなり限定されています。

しかしながら意外とガランガルの歴史は古く、さらに東南アジアでは今もメジャーなスパイスとして使われています。実はあのトムヤムクンにも欠かせないスパイスなのです!

ぱっと見ではしょうがに似たこのスパイス。じっくりと研究してみましょう。

1.ガランガルの名前と歴史

2.ガランガルの香りや味

3.ガランガルの育て方

4.ガランガルを使った料理レシピ

 

1.ガランガルの名前と歴史

ガランガル
ガランガル

ガランガルはショウガ科の植物で、主にその根茎をスパイスとして使います。ショウガの仲間なんですね。

ガランガルは中国南部や東南アジアが原産地だと考えられています。現在でもそれらの地域で栽培されているのですが、実は二つの種類があります。大ガランガルと小ガランガルです。

大ガランガルの見た目はショウガに似ていますが、コショウのようなスパイシーな香りがあります。タイ語でカー(語尾が上がる発音をします)と呼ばれていて、あのトムヤムクンにも大量に使われているものです。

一方の小ガランガルはインドネシア語でケンチュールと呼ばれているもので、植物自体がかなり小さいものです。大ガランガルよりも辛みが強いものが多いのが特徴です。

ガランガルと呼ばれるものには、他にもさまざまな種類があるようで、南薑(南姜、ナンキョウ)、高良薑(高良姜、コウリョウキョウ)、バンウコン、オオバンガジュツと呼ばれるものが大きなくくりのガランガルであると考えて良さそうです。

ガランガル
ガランガルの見た目はショウガに近い

さて、ガランガルという聞き慣れない名前は、英語のgalangalの日本読みですが、これは古フランス語のgalingalに由来し、galingalはアラビア語のgalanjanが語源と考えられています。そのアラビア語ですが、この由来はもしかしたら中国語の高良薑ではないかと言われています。北京語では高良薑をgaoliangjiangと発音するため、原産地に近い中国の言葉が伝わっていった可能性は高いと思われます。

日本にも古くから伝わっていたようですが、和名はナンキョウとかタイショウガとかいろいろあって、どれが正しいのか判然としません。

このガランガルですが、実は中国では古くから生薬として用いられてきました。生薬に使われていたのは小ガランガルの方だと思われますが、鼻炎や胃腸の薬として使われていました。

ガランガル
肉質は節くれだってとても硬い

また現代では、このガランガルに含まれるジアリルヘプタノイドという成分が癌予防効果を持っているという研究成果もあるようです。

一方の東南アジアでもガランガルの効果は認識されていて、すりおろしたガランガルとライムジュースを混ぜて栄養ドリンクとして飲まれています。私も一度試しましたがかなり強烈な香りと味で飲み干すことができませんでした。慣れればいけると思いますが…なにせあのレッドブルの味を生み出した地域ですから強烈なのもうなづけます。

 

2.ガランガルの香りや味

ガランガル

ガランガルはショウガに似ていますが、ショウガよりも硬く、生のガランガルの皮を剥いたり、スライスしたりするにはかなりの力が必要です。みじん切りなんてかなり難易度が高い作業です。

そしてこのスパイスはとても良い香りがします。スライスしている間にも、何とも爽やかな香りに包まれてしまいます。この香りが肉や魚の臭みを抑え、風味を与えてくれるのです。フィノッキオくらいの香りの強さを感じます。

ヨーロッパでは、このガランガルの香りを加えたリキュールもあるようです。

またガランガルの味は、噛んでみる限りはショウガのような辛みはありませんが、そもそも硬くて食べられないというのが正直なところです。トムヤムクンなどに入っていても、風味づけで入れているので、ガランガル自体は食べません。

 

3.ガランガルの育て方

ガランガル
ガランガルの断面。筋が多くショウガよりも硬い

種ガランガルというのは手に入るのでしょうか。生のガランガルが手に入れば挑戦してもいいかもしれませんが確率は低いかもしれません。

もし種ガランガルが手に入れば、3月~4月頃の天気が良い時に数日日光に当ててみましょう。上手くいけば芽が出てくるかもしれません。

芽さえ出てしまえば、後は土に埋めておいて梅雨になる前に掘り出すだけで収穫できてしまいます!

 

4.ガランガルを使った料理レシピ

ガランガルを使ったレシピということで、必然的に東南アジアのメニューが並んできました。

生のガランガルにこだわってみましたが、地方では手に入れることが難しいかもしれませんが、最近では通販で冷凍ガランガルを取り扱っているところもあるようですし、もしかしたら外国人向けの食料品店にあるかもしれません。

この香りは癖になること間違いなしですよ!

4-1.トムヤムクン

4-2.グリーンカレー

4-3.マッサマンカレー

 

4-1.トムヤムクン

トムヤムクン

最初のガランガルのレシピは、代表的なタイ料理として知られるトムヤムクンです。

最近では、ランチにトムヤム風ラーメンを出すアジアンレストランも増えてきました。家庭用のトムヤムクンパックのようなものもスーパーで良く見かけますね。

インスタントでも美味しいですが、生のガランガルや生のレモングラスの茎、生のこぶみかんの葉を使ったトムヤムクンの味わいは格別です。勝利も簡単ですから材料探しだけ頑張ってみて下さい。

材料:2人分

生ガランガル 5cm程度
生レモングラスの茎 2本
生こぶみかんの葉 2枚
パクチー 2房
むきエビ 6尾(中サイズ)
キノコ お好きなもの適量
ナムプリックパオ 大さじ1.5
鶏ガラ 大さじ2
ナンプラー 大さじ1
乾燥赤唐辛子 2本
レモン汁 大さじ1

(1)生ガランガルの皮を厚めに剥いて、2mm程度のスライスにする

(2)生レモングラスを4cm程度の長さに切りそろえ、包丁の腹で押しつぶして香りをだす

(3)こぶみかんの葉を手でちぎり、芯は捨てる

(4)むきエビを良く洗って水を切っておく

(5)パクチーの葉を手で茎からちぎり、茎を4cm程度に刻む

(6)鍋に水を500cc入れ、鶏ガラを加え煮立てる

(7)煮立ったら生ガランガル、生レモングラス、生こぶみかんの葉、パクチーの茎を加えて香りを出す

(8)さらにナムプリックパオ、乾燥赤唐辛子を加えひと煮立ちさせる

(9)むきエビ、キノコを加え、エビに火が通るまで煮込む

(10)ナンプラー、レモン汁を加えひと煮立ちさせたら火から下ろす

(11)器に盛り、パクチーの葉を添えて完成!

★レシピの裏ワザ★分量は好みで加減して下さい。生ガランガル、生レモングラス、生こぶみかんの葉は食べませんので、出来上がり量は意外と多くありません。またナムプリックパオが無ければ、市販のトムヤムクンペーストを使って、鶏ガラを入れず、ナンプラー、レモン汁を少な目にすると味が整います。

 

4-2.グリーンカレー

こちらもタイの代表的な料理、グリーンカレーです。あの独特な香りが食欲をそそります。

今回は、グリーンカレーペーストに市販のものを使って簡単にできるレシピにしてあります。是非、ランチやディナーに作ってみて下さい。

材料:4人分

生ガランガル 3cm程度
グリーンカレーペースト 市販のもの50g
ココナツミルク 400g
鶏肉 400g
たけのこ水煮 1パック
キノコ類 適量
ピーマン 2個
赤ピーマン 2個
ナス 2本
ニンニク 1片
鶏ガラだし 大さじ1
ナンプラー 大さじ2
サラダ油 大さじ2
水 300cc

(1)生ガランガルは皮を厚めに剥き、みじん切りにする。硬くて難しい場合はスライスでもOK

(2)たけのこ水煮、ピーマン、赤ピーマンを細切りにする

(3)キノコ類は石づきを切り落とし、手で小分けにする

(4)にんにくをみじん切りにし、鶏肉を一口大に切る

(5)ナスを一口大に切り、水にさらしておく

(6)鍋にサラダ油、ニンニクを入れ、弱火で香りを出す

(7)グリーンカレーペーストを入れ、弱火のまま混ぜ合わせる

(8)中火にし、鶏肉を入れて炒める

(9)生ガランガル、たけのこ水煮、キノコ、ナスを加えて炒める

(10)水、ココナツミルクを加え、煮立ったら鶏ガラだしを加える

(11)ピーマン、赤ピーマンを加えて3分煮込む

(12)仕上げにナンプラーを加えてひと混ぜしたら完成!

 

4-3.マッサマンカレー

CNNかどこかのメディアで世界一美味しいカレーと評価されたカレーです。

ペーストも売っていますが、なるべく手作りを心がけたレシピにしています。

材料:4人分

生ガランガル 3cm程度
生レモングラス 1本
生こぶみかんの葉 4枚
鶏肉 400g
玉ねぎ 1個
ジャガイモ 4個
ピーマン 2個
赤ピーマン 2個
ナス 2本
ニンニク 1片
ココナッツミルク 400g
水 300cc
自家製カレーパウダー 大さじ3
乾燥赤唐辛子 2本
サラダ油 大さじ2
ナンプラー 大さじ2
鶏ガラだし 大さじ2

(1)生ガランガルは皮を厚めに剥き、みじん切りにする。硬くて難しい場合はスライスでもOK

(2)生レモングラスを4cm程度の長さに切りそろえ、包丁の腹で押しつぶして香りをだす

(3)こぶみかんの葉を手でちぎり、芯は捨てる

(4)にんにくをみじん切りにし、鶏肉を一口大に切る

(5)玉ねぎを輪切り、じゃがいも、ナスは一口大に切り、水にさらす

(6)ピーマン、赤ピーマンを細切りにする

(7)鍋にサラダ油、ニンニク、乾燥赤唐辛子を入れ、弱火で香りを出す

(8)玉ねぎを入れ透き通るまで炒める

(9)鶏肉を加えてさらに炒める

(10)生ガランガル、ジャガイモ、ナス、ピーマン、赤ピーマンを加えさっと炒める

(11)水とココナッツミルク、鶏ガラだしを加えて煮込む

(12)具材がやわらかくなったらナンプラーを加えてひと煮込みして完成!

(13)ジャガイモ、ナス、ピーマン、赤ピーマンを加えさらに炒める


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