フェヌグリーク

フェヌグリーク(メティ)は甘味と苦みのスパイス&ハーブ


フェヌグリークシード

フェヌグリークは西アジアから地中海東岸地域原産の植物です。

みなさんはこのスパイスを使ったことがあるでしょうか?
あまり日本では馴染みのないスパイスかもしれませんね。

スパイスと言いましたが、実は生の葉もフレッシュハーブとして使われています。
フレッシュハーブとしてのフェヌグリークは、残念ながら日本ではほとんど見かけることがありません。

このフェヌグリークは知れば知るほど、謎に満ちた魅力的なスパイスです。
では楽しみながら進めていきましょう!

1.フェヌグリークの名前の由来と歴史

2.フェヌグリークの香りや味

3.フェヌグリークの育て方

4.フェヌグリークシードの作り方

5.フェヌグリークを使った料理レシピ

 

1.フェヌグリークの名前の由来と歴史

フェヌグリークは英語のFenugreekからきていますが、このFenugreekはフェンリル(Fennel)の語源で、ラテン語で干し草を表す「Fenum」(フェノム)に、ギリシャを表すgraecumがついたものが、変化してきたものと考えられています。

意味はギリシャの干し草…あまりおいしそうな名前ではありませんね。

フェヌグリークアップ

このフェヌグリークも古くからスパイスやハーブとして使われてきました。
あの古代エジプトの医学書「エーベルス・パピルス」にも登場しています。

古代エジプトでは、防腐剤や料理のスパイスとしても使われていましたし、古代ギリシャやローマでは、家畜の飼料としても使われていました。
こちらはまさに干し草(Fenum)ですね!

またその薬効も知られていたようで、エジプトでは解熱剤として、ギリシャでは頭の回転を良くする薬としても使われていたようです。

ヨーロッパではその後、フランク王国のカール大帝のハーブ園でフェネグリークが栽培されていたという記録が残っています。
おそらくこのカール大帝の頃からヨーロッパでは栽培が盛んになったのだと考えられます。

フェヌグリークはインドではメティと呼ばれ、かなり古くから栽培されていたようで、アーユルヴェーダにも用いられています。
アーユルヴェーダとしては、血糖値やコレステロールを下げる効能があると言われています。

ちなみにインドでは、種をメティダナ、生葉をメティ、乾燥した葉をカスリメティと呼んで、全て料理に使用します。

中国ではフェヌグリークを胡廬巴と書きます。これは生薬としての名前ですが、そのまま日本に伝わって、日本名「ころは」が誕生したと言われています。
日本に伝わったのはおそらく江戸時代になってからであろうと言われています。

 

2.フェヌグリークの香りや味

フェヌグリークパウダー

フェヌグリークのスパイスを買ってきて開封すると、セロリのような、カレーのような、濃いコンソメ味のスナックのような、強い香りが漂ってきます。

そして味ですが、これは実際にフェヌグリークの種子を口内で噛み砕いて頂くのが良いのですが。
とにかく、やたらと苦いんです…私はこのフェヌグリークを初めて口にした時に、最高レベルの苦みを持つ日本の薬草「せんぶり」を思い出しました。
それくらい苦いのです。

フェヌグリークのカレーのような複雑ですが爽やかな良い香りを想像しながら食べると、見事に期待を裏切られます。
ポリッ、ポリッ。ん、別に辛くも苦くもないな。ポリッ、ポリッ…えっ!うわっ!なにこれ!ペッ、ペッとなってしまいます。

しかもこの苦み、後を引きます。そのため、料理でもフェヌグリークを入れすぎて苦い!という失敗談が良くあります。

フェヌグリークを料理に使う場合は、少量ずついれてみましょう。火が入ると甘い香りを放つようになりますよ!
またカレーなどに少し振ってやると、カレーがやさしい味になります。

近年、フェヌグリークには様々な効能があることが明らかになってきて、その苦み成分であるサポニンなどは、消化を助けたり、血液の環境を整えたりする効果があることが分かってきています。

また女性ホルモンに働きかける効果があると言われ、母乳の出を良くしたり、バストアップにもなるとも宣伝されていたります。

 

3.フェヌグリークの育て方

フェヌグリークは日本でも暖かい場所であれば栽培することができます。
今回は種まで収穫することを目標にしていきますね。

種まきの時期は4月~5月の暖かい時期がおすすめです。

まず種を準備します。スパイスで売られているものでも発芽しますが、販売店によるかもしれません。

フェヌグリーク

種を一晩水に浸しておき、翌日水をさっと捨てます。種が乾燥してしまわないように注意しましょう。

種から発芽したら、鉢に培養土を入れて、適当に種を蒔いて、土を薄くかぶせます。

あとは直射日光をさけて、暖かいところで乾燥しないように注意していればぐんぐん育ちます。

若芽をつんでスプラウトとして食べてもいいですし、20cmくらいまで育ってから若葉を炒め物にして食べても良いです。
この植物はアブラムシに弱く、あっという間にやられてしまいますので、見つけたらすぐに駆除しましょう。

そのうちに莟がついて花が咲きます。花のあとに細長いさやがつきますので、それが熟したら株ごと収穫します。

 

4.フェヌグリークシードの作り方

株ごと収穫したフェヌグリークを紙袋などで包んで部屋に吊るして乾燥させます。
乾燥したら、さやを外して、その中から種子を取り出します。

取り出した種子を、紙の上などに広げてさらに乾燥させてフェヌグリークシードのスパイスが完成します。

注意点としては、部屋中このスパイスの匂いが漂って、衣服などにもつきますので、普段生活しない湿気のない部屋で作業することをおすすめします。

 

5.フェヌグリークを使った料理レシピ

これまで見てきたように、フェヌグリークは独特な苦みがあるため、応用できるレシピも限られています。

今回ご紹介するレシピも、加熱すると甘い香りが強くなるという特徴を生かしたものです。

一見本格的な料理に見えるものもありますが、なるべく簡単なレシピにしてみました。

5-1.タンドリーチキン

5-2.フェヌグリークとジャガイモのスパイス炒め(アルメティ)

5-3.かぼちゃの炒め物

 

5-1.タンドリーチキン

インド料理のお店に行くと必ずといっていいほど目にするタンドリーチキン。でもその味付けは店ごとに異なっています。

タンドリーチキンという名前は、タンドールと呼ばれるナンなどを焼く壷釜で焼かれることからついた名称です。

ここではフェヌグリークを使った手羽元のタンドリーチキンのレシピのご紹介です。良くお店では食紅で真っ赤に色づいたタンドリーチキンが出てきますが、そこはお好みで量を調整して下さいね!

タンドリーチキン

材料:4本

鶏手羽元 4本
サラダ油 大さじ2
無糖ヨーグルト 100g
フェヌグリーク 小さじ1/2
コリアンダー 小さじ1
クミン 小さじ1
チリパウダー 小さじ1/2
ターメリック 小さじ1/2
クローブ 小さじ1/2
ジンジャー 小さじ1
塩 小さじ1
食紅 お好みで

(1)ボウルに鶏手羽元以外の材料を全て入れて良く混ぜる

(2)ボウルに鶏手羽元を加え、良く揉む

(3)大き目のジップロックを用意して、中身を移し冷蔵庫で一晩置く

(4)焼く1時間ほどまえに冷蔵庫から取り出して、室温に戻す

(5)オーブンを200℃に予熱する

(6)ジップロックの中身を耐熱皿に移して、オーブンに入れ約20分加熱する

(7)鶏手羽元にしっかり火が通ったら完成!

★レシピの裏ワザ★オーブンを使わずにトースターで焼いてもOKです。トースターの場合は、トースターの皿にクッキングシートを敷いてその上に一晩漬けたチキンを並べます。そしてトースターによってまちまちなのですが、10分~20分焼いて火が通ったところで完成です!

 

5-2.フェヌグリークとジャガイモのスパイス炒め(アルメティ)

アルメティ
カスリメティを使ったアルメティ

フェヌグリークの生の葉っぱを使う北インドの伝統料理アルメティ。
予想はつきますが、葉の苦みもダイレクトで伝わってきます。

日本の春菊やゴーヤに似た立ち位置の野菜だと考えると分かりやすいかもしれません。
大人の料理なんでしょうね。

アルメティはカレーに分類されていたりしますが、レシピ的には炒め物だと思います。

材料:4人分

じゃがいも 中5個
フェヌグリークの葉(メティ) 1束
玉ねぎ 中1個
にんにく 1片
クミン 小さじ1
乾燥赤唐辛子 1本
塩 少々
サラダ油 大さじ2
ターメリック 小さじ1/2

(1)じゃがいもを少し大き目に切り、玉ねぎをみじん切りにする

(2)フェヌグリークの葉(メティ)をざく切りにする

(3)フライパンにサラダ油を熱し、ニンニク、クミン、乾燥赤唐辛子を炒める

(4)香りがたってきたら、玉ねぎを加えてさらに炒める

(5)玉ねぎが透き通ってきたら、フェヌグリークの葉(メティ)を加えてさらに炒める

(6)塩とターメリックを加えて混ぜ合わせ、中火で10分ほど炒め続ける

(7)じゃがいもを入れ、ひたひたの水を加えてフタをして煮る。じゃがいもが柔らかくなるまで15分ほど煮る

(8)じゃがいもが煮えたら、フタを取り、水分がなくなるまで加熱して完成!

★レシピの裏ワザ★日本でフェヌグリークの葉(メティ)を手に入れるのは簡単ではありません。自分で栽培するか、近くのインド食材の店でたまたま売っているか、くらいの選択肢しかありません。この場合、葉を乾燥させたカスリメティを湯で戻して使うことも検討してみましょう。食感や色味は違いますが、これはこれで楽しめる味になりますよ!上に載せた写真もカスリメティを使ったアルメティです。

 

5-3.かぼちゃの炒め物

2番目のレシピでは、フェヌグリークの葉(メティ)を使いましたが、今度はフェヌグリークの種のほうを使った炒め物を紹介したいと思います。

かぼちゃの甘味にスパイスの香りが加わって、食欲をくすぐられる一品です。

材料:4人分

かぼちゃ 半個
フェヌグリーク(種) 小さじ1/2
ホワイトマスタード(種) 小さじ1
ターメリック 小さじ1/2
チリパウダー 小さじ1/2
塩 適量
砂糖 小さじ1/2
サラダ油 大さじ2

(1)かぼちゃを大き目に切る

(2)フライパンにサラダ油を熱し、フェヌグリークとホワイトマスタードを加える

(3)スパイスと油が馴染んだら、ターメリックを加えて良く混ぜる

(4)かぼちゃを加え、良く混ぜ合わせ、さらに塩、砂糖、チリパウダーを加える

(5)水を50~100cc加えてフタをして15分ほど煮込む

(6)かぼちゃが柔らかくなったら完成!


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