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コロンブスが発見したオールスパイス。そのレシピや育て方について


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オールスパイスは西インド諸島が原産地のスパイスで、冒険家コロンブスによって発見され、西洋に持ち込まれたと言われています。でも他の探検家が見つけたとか、この説にはかなり異論があるようですね。

オールスパイスという名前からは、ミックススパイスとか万能スパイスを想像しますが、実は単一のスパイスです。なぜこんな名前になったのか?こちらものちほど詳しく解説したいと思います。

それでは、オールスパイスの歴史や、オールスパイスの料理レシピなどをたっぷりと紹介していきますね。

1.オールスパイスの名前と歴史

2.オールスパイスの香りや味

3.オールスパイスの育て方

4.スパイスとしてのオールスパイスの作り方

5.オールスパイスを使った料理レシピ

 

1.オールスパイスの名前と歴史

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オールスパイスは一般的にはコロンブスが発見したとか、スペインの探検家フランシスコ・フェルナンデスが発見したとか言われています。

発見地もコロンブスはジャマイカ、フェルナンデスはメキシコとなっています。大まかにいって西インド諸島が原産地ということで間違いはないようです。

おそらくコロンブスは第2回航海の際(おそらく1494年)に、オールスパイスを発見(遭遇)したのでしょう。コロンブスは第1回の成果によって、第2回航海では多くの武装兵士を率いていましたので、各地で原住民の虐殺を繰り返しながら黄金を探すなかで、このオールスパイスにも遭遇したようです。

コロンブスに同行した医者ディエゴ・チャンカがスペイン語で胡椒という意味のpimentoという名前を付けて呼んだそうですが、実際のところ、しばらくの間オールスパイス自体が胡椒と区別がついていなかったようで、その名残から今でもスペイン語では、Pimienta de Jamaica(ジャマイカの胡椒)と呼ばれています。

その後、スペインの探検家などの力によってジャマイカでオールスパイスの栽培が始まりました。ジャマイカでは1509年から栽培がおこなわれているという記録が残っているそうです。

“Forest Products, Livelihoods and Conservation”という本によると、1570年から1574年にメキシコに滞在したフランシスコ・エルナンデス(Francisco Hernández)が、オールスパイスはメキシコのモレロス州のコピトランから持ち込まれているとレポートしたと書かれています。

メキシコのモレロス州

morelos, mexico

もちろんオールスパイスという名前はありませんから、タバスコペパーと呼ばれていたそうです。いやはや、メキシコだからタバスコペパーもしっくりきますね!

以下に“Forest Products, Livelihoods and Conservation”の記事を引用しておきますね。

The first to report it for its various medicinal uses was Francisco Hernández (1570–1574), who cites it as coming from Copitlán, state of Morelos, and calls it ‘tabasco pepper’ or ‘xocoxóchitl’ (‘acid-flower tree’ in the Náhuatl language).

またロンドンには1601年にオールスパイスが輸入されたと植物学者のクルシウスが記録を残していますが、オールスパイスが本格的にヨーロッパに持ち込まれるようになったのは、イギリスがジャマイカ島をスペインから奪って占領(1655年)し、オールスパイスの栽培を始めてからと言われています。

さて、このオールスパイスという名前ですが、英語のAllspiceから来ています。三大スパイスに数えられるクローブ、シナモン、ナツメグの香味をあわせ持ったスパイスという意味です。

この名前は、イギリスの植物学者ジョン・レイ(John Ray)が考案したそうです。

名前からはミックススパイスのように思えてしまうところが欠点ですが、意味を理解すればなるほどと思う名前ですね。

漢字では百味胡椒、三香子と呼ばれますが、こちらも雰囲気が良くでていますね!
Allspiceを訳せば百味胡椒、意味を理解していれば三香子といったところでしょうか。

さて、このスパイスはジャマイカが有名ですが、中米カリブ海地域ではあちこちで自生、生産されています。

あのマヤ文明の地域でも自生していて、古くから防腐剤や調味料として使われていたそうですよ!

 

2.オールスパイスの香りや味

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オールスパイスはオールスパイスベリーと呼ばれる果実から作られます。エンドウ豆のような小さい粒で、表面はざらざらしています。

名前の由来の通り、クローブ、シナモン、ナツメグ(メース)を混ぜたような香りがありますが、これらのスパイスには、オイゲノールという刺激のある香りを放つ成分が共通しているのです。

オールスパイスを噛むとピリッとした辛みがありますが、胡椒のような深い味や辛みはありません。またホールを噛むと口の中がくずで大変なことになりますので、がまんせずに吐き出しましょう。

一番外側の殻に最も風味が詰まっていますので、無理して中まで噛む必要はありません。

 

3.オールスパイスの育て方

オールスパイスの育て方ですが、これにも歴史があります。

ジャマイカをはじめとする中米カリブ海地域で自生、栽培されてきたオールスパイスですが、その他の地域での栽培はうまくいっていません。現在でもアメリカ大陸でのみ生産されているのです。

それを日本で育てるのは可能なのでしょうか?

結論から言いますと、育てることはできると思いますが、一番大切な実がなりません・・・それでもトライしたいという方は、以下の方法で挑戦してみてください!

育苗ポッドを用意して、観葉植物用の土を入れ、中央に指で穴を作ります。そこにオールスパイスの種を入れて、上に土をかぶせます。

室温が25度程度の場所にポッドを置き、ビニールで覆い、湿度を十分に保つように乾燥には注意しましょう。

直射日光は避け、半日陰の場所で育てると、うまくいけば、2週間から数か月で発芽します。

芽が4、5センチ程度になるまで、ビニールで覆った育苗ポッドで育てて、その後、少し大きめの育苗ポッドに移し替えます。

水はけのよい土を好みますので、用土には砂を半分程度混ぜるとよいでしょう。この段階でも、まだ直射日光は避けて、半日陰の場所をキープして下さい。

そして秋の土がいくぶん湿っているときに、畑に植え替えます。その際に、苗同士の間隔をできるだけ空けて下さい。
日本の場合はそんなに大きくならないと思われますが、念のため。

というのは、大きく育つと5メートルから10メートル近くになる植物です。育たないといわれますが、もしうまくいった場合に十分な環境が与えられるようにしておきましょう。

ちなみに、中米では10メートル程度間隔を空けているようです…そりゃ土地さえあれば、と思いますが、ここは日本です。あきらめましょう。

10メートルサイズなんて、もう立派な大木ですね。

 

4.スパイスとしてのオールスパイスの作り方

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オールスパイスは、まだ実が熟さないうちに枝ごと収穫します。

枝先にはぎっしりと緑色の実がついている状態です。

そして枝から丁寧に実を取り、露天で十分に乾燥させます。

実は葉っぱもいい香りがするんですよ!

 

5.オールスパイスを使った料理レシピ

オールスパイスは良い香りが特徴的で、肉料理から煮込み料理、スイーツまで幅広く応用できます。

今日はその中から三つ、簡単にオールスパイスの香りが楽しめるレシピを紹介します!

5-1.フライドチキン

5-2.パンプキンチーズケーキ

5-3.チリコンカン

 

5-1.フライドチキン

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オールスパイスはジャマイカのスパイスとして知られていますが、そのジャマイカのチキンと言えば「ジャークチキン」が有名ですね。

ジャークチキンとなると本格的で身構えてしまうところですが、ここではもっと身近な日本風のフライドチキンのレシピを紹介したいと思います。

材料:4人分

鶏肉 800g
牛乳 1カップ
ヨーグルト 100ml
玉子 1個
薄力粉 1カップ
塩 大さじ1.5
オールスパイス 小さじ1.5
黒コショウ 小さじ1
ガーリックパウダー 小さじ1

(1)鶏肉を洗い、適当なサイズに切り分ける

(2)ジップロックにヨーグルトを入れ、その中に鶏肉を入れてよくもみ、冷蔵庫で30分ほど寝かせる

(3)ボウルに牛乳と玉子を入れ混ぜる

(4)別のボウルに薄力粉、塩、オールスパイス、黒コショウ、ガーリックパウダーを入れ混ぜる

(5)鶏肉を取り出し、キッチンペーパーなどでヨーグルトを拭き取る

(6)鶏肉を牛乳のボウルにひと浸しして、薄力粉のボウルの衣をつける

(7)油を190℃に熱して、鶏肉を8分前後(大きさによります)揚げます

(8)中まで火が通ったら、油きり網の上などで冷まして完成!

 

5-2.パンプキンチーズケーキ

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次にパンプキンチーズケーキを紹介します。

海外ではパンプキンチーズケーキはただ甘いだけのケーキよりも、スパイスの効いたものが人気です。

今日はオールスパイスの風味の効いたレシピを紹介します。

材料:8カット分

<クラスト>
グラハムクラッカー 8枚
砂糖 50g
シナモンパウダー 小さじ1
無塩バター 50g
<フィリング>
クリームチーズ 800g
砂糖 300g
玉子 3個
かぼちゃ 400g
ホイップクリーム 200g
オールスパイスパウダー 小さじ1/2
ナツメグパウダー 小さじ1/2
クローブパウダー 少々
しょうがパウダー 小さじ1/2
バニラエッセンス 小さじ1
シナモンパウダー 小さじ2

(1)オーブンを180℃に予熱する

(2)25センチ程度のオーブン用ケーキ枠にクッキングシートを敷く

(3)グラハムクラッカーを砕いたものと、砂糖、シナモンをフードプロセッサーに入れ、細かくなるまで混ぜる

(4)無塩バターを加え、まとまるまで混ぜ合わせる

(5)生地をケーキ枠の底に敷き詰める

(6)オーブンで10分ほど焼く。焼き色がついたら、取り出して冷ます

(7)オーブンは180℃を保つ

(8)かぼちゃの皮をむき、種を取る

(9)ラップに包み、電子レンジで約8分加熱する

(10)クリームチーズと砂糖をハンドミキサーでクリーミーになるまで混ぜ合わせる

(11)加熱したかぼちゃとホイップクリーム、オールスパイスなどの残りの材料を加えさらに混ぜ合わる

(12)先ほど焼いたクラストにフィリングを入れる

(13)オーブン皿にケーキ枠を乗せ、周りに水を注ぎいれる

(14)オーブンで1時間ほど焼いて、きれいに焼き色がついたら、取り出して冷ます

(15)粗熱がとれたら、ラップをして冷蔵庫で一晩おいて完成!

 

5-3.チリコンカン

チリコンカン

アメリカでは「チリ」としておなじみのチリコンカン。
日本ではなかなか食べられるところが無く、あまり知られていませんね。

アメリカのファーストフードなどでも人気のこのメニュー。
ここでは少したっぷり目のボリュームでレシピを紹介したいと思います。

材料:6人分

牛ひき肉 600g
ミックスビーンズ 2缶
玉ねぎ 2個
にんにく 2片
オリーブオイル 大さじ3
赤ワイン 1/2カップ
トマト缶 2缶(カット、ダイスなど)
トマトピューレ 小さじ2
乾燥赤唐辛子 2本
クミン 小さじ1
オールスパイス 小さじ1
コリアンダー 小さじ1
シナモンスティック 1本
ウスターソース 適量
ビーフストック 1個(無ければコンソメ 1個)
塩コショウ 適量

(1)玉ねぎ、にんにくをみじん切り、乾燥赤唐辛子を輪切りにする。ミックスビーンズは洗ってザルにとり水気を切る

(2)フライパンにオリーブオイルをひき、弱火でにんにくと乾燥赤唐辛子を熱する。香りがたったら玉ねぎを入れてよく炒める

(2)玉ねぎがしんなりしたら、牛ひき肉を加えよく炒める

(3)ひき肉が茶色くなってきたら、赤ワインを加えてふたをして数分蒸す

(4)トマト缶とトマトピューレ、オールスパイスなどのスパイス類、ウスターソース、塩コショウ、ビーフストックを加える

(5)弱火でふたをして、水気が無くなるまで30分~1時間ほど煮込む

(6)ミックスビーンズを加えて、さらに5分ほど煮込む

(7)皿に盛って完成!


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