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コショウは黒いダイヤだったのか?コショウ(ペパー)の歴史を探ります


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現代の私たちの暮らしに欠かせないコショウ。
肉から野菜、ラーメンなどにもコショウをかけて食べますね。

子どものころから、コショウでくしゃみをした経験もあったり、馴染みのあるスパイスです。

このコショウは紀元前からインドの重要な輸出品で、ヨーロッパでも古くから用いられてきました。

ここではそんなコショウの名前の由来や歴史、そしてコショウを使ったレシピをご紹介します!

1.コショウの名前と歴史

2.コショウの香りや味

3.コショウの育て方

4.スパイスとしてのコショウの作り方

5.コショウを使った料理レシピ

 

1.コショウの名前と歴史

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コショウは英語でペパー(pepper)と言いますが、元々は近い仲間のロングペパー(長コショウ)が先に広まっていました。

このロングペパーがサンスクリット語(梵語)で「ピッパリ」と呼ばれていたことから、ペパーという名がついたようです。

紀元前4世紀頃の古代ギリシャでは、ヒポクラテスが調合薬の材料としてペパーを用いていました。

また博物学者のテオプラストスが、自身の著作にペパーを記載していました。

この頃のペパーは時にロングペパーを時にコショウを指すといったように混然としていたようです。

古代ローマでは、1世紀頃に大プリニウスが「博物誌」の中で、ロングペパーは1ポンド15デナリ、ホワイトペパーは7デナリ、ブラックペパーは4デナリと伝えています。

コショウよりもロングペパーのほうに価値があったことが分かりますね。
というのは、長らくブラックペパーやホワイトペパーはロングペパーの粒々が熟成してなるものだと思われていたからです。
実際は別の種なのでロングペパーがブラックペパーになることはないですよね。

 また大プリニウスは、ローマが毎年のようにコショウに大金をつぎ込んでいることを嘆いています。
ローマ人が、コショウがどれだけ高くても買い集めていた様子がわかります。

 ローマ帝国が東西に分裂した後、408年に西ゴート族のアラリック1世がローマを包囲しました。

この時、ローマ人はいろいろと貢物をさせられるのですが、ペパー1トン以上を金銀と併せて支払ったと言われています。
1トン以上のコショウとは、どんな量なのか想像がつきません。

金銀とともに要求されたのでしょうから、コショウの価値が分かります。

中世になってもこのコショウの価値は高いままでした。
国々の中には、通貨と同じ価値をもたせているところもあったようです。

例えば、ある国では税金をコショウで納める、ある国では給料をコショウで払うなどです。

というのも、冷蔵技術が無く、食品の保存手段が限られていた中世では、コショウが防腐・防菌の役割を果たすようになっていたのです。

そのためコショウは幅広い料理に使われ、大航海時代の食糧保存にも一役買っていたのです。

 さて、コショウはインドから東の方にも伝わりました。中国でもコショウは人気で大量に買い付けている国の一つだったようです。
その中国ではコショウを胡椒と呼ぶようになりました。胡は西方のこと、椒はスパイスのことでした。西から来たスパイスという意味でしょうか。

日本も8世紀にはコショウが入ってきたようですが、この中国の呼び名にならったようです。

もちろん正倉院の宝物のなかにも胡椒が含まれています。
また聖武天皇が亡くなったのち、光明皇后が東大寺に薬物を収めたのですが、そのリスト「種々薬帳」には「胡椒」が記載されていました。

他のスパイスと同様に生薬として使われていたのでしょう。

コショウは長らくインドからトルコを経由してヨーロッパへ運搬されていました。
ところが1453年に東ローマ帝国がオスマントルコに滅ぼされ、このルートが閉ざされてしまいます。

ヨーロッパ各国が貿易の覇権を競い合う、大航海時代が幕明ける背景には、このような胡椒事情もあったのですね。

 

2.コショウの種類と香り、味

ブラックペパーとホワイトペパー
ブラックペパーとホワイトペパー

スパイスとしてのコショウにはいくつかの種類があります。

詳しくは、後のコショウの作り方で紹介しますが、簡単に説明しておきます。

(1)ブラックペパー:未熟な実を乾燥させたもの

(2)ホワイトペパー:完熟した実の外殻をむいたもの。一番辛い

(3)グリーンペパー:未熟な実をフリーズドライなどさせたもの

(4)ピンクペパー:完熟して赤くなった実を乾燥させたもの。味は一番マイルド

これらは製法によって違いが出てくるのですが、結果見た目も違うものとなっています。

この中ではホワイトペパーが最も辛みが強く、ついでブラックペパー、グリーンペパー、ピンクペパーの順に辛みが弱くなります。

木の香りに似た芳香と、ピリッとした刺激が特徴的です。

ただ香りはすぐに失われてしまうので、使用するたびに挽くのが理想です。
味はほぼ辛みのみなので、どんな料理にも合う魔法のスパイスです。

 

3.コショウの育て方

コショウも他のスパイスと同様に、熱帯性の植物です。

原産地はインド半島西岸のマラバル海岸です。

このマラバル海岸へ西洋諸国で最初に到達したのは、ヴァスコ・ダ・ガマで、1498年のことでした。
彼はコショウの現地調査を行って、山積みのコショウを母国ポルトガルへ持ち帰ったそうです。

現在でも主な産地は熱帯のインドや東南アジア、そしてブラジルです。

つまりはこのコショウも、日本で栽培するのはとても難しい植物ということです。
ただし、温室があり、十分な温度管理さえできれば、栽培できる可能性はあると思います。

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まずはコショウの苗を購入します。

コショウの種からの発芽はとても難易度が高いので、苗から育てる手順を紹介します。

コショウは柱に絡み付いて成長しますので、鉢に支柱を用意して固定します。

観葉植物用の土に砂を混ぜ、苗を支柱の根元に植えます。
室温が最低10℃以上になる部屋の半日影で育てましょう。

成長してきたら支柱にひもで絡めるように固定させていきます。ぶどうをイメージすると良いかもしれませんね。

暖かい部屋の中で育て、冬の間は乾かし気味に育てましょう。

苗を植えてから実をつけるまで約3年かかります。
日本で実をつけるまで育てられたら、かなり奇跡です…

 

4.スパイスとしてのコショウの作り方

先ほど4種類のコショウを紹介しましたので、それぞれの製法を詳しくみていきたいと思います。

なんとこの4種類のコショウ、同じ1本の木から獲れるのです。

コショウ農家では、コショウの実の房が赤くなると収穫します。
まず赤いものを選別し、これらはピンクペパーとなります。

次に形の悪いものを選別し、数日水につけたあと表皮を取り除き、これがホワイトペパーとなります。

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そして房の残りや、赤みがかる前に収穫された実がブラックペパーとなります。

選別されたコショウはシートに広げられて天日で一度乾燥させます。

そして煮沸し、風味が失われないよう注意しながら、再度乾燥します。

これでブラックペパー、ホワイトペパー、ピンクペパーの完成です。

最後のグリーンペパーですが、収穫直後のものをフリーズドライや塩漬け、酢漬けにして使います。
収穫時の緑色が変わりませんので、グリーンペパーという訳です。

ブラックペパーなどよりも早めに実が柔らかいうちに収穫されることが多いようです。

スパイスといってもフレッシュスパイスで、野菜に近い感覚かもしれませんね。

 

5.コショウを使った料理レシピ

コショウは本当に幅広い料理に使われていますので、コショウのレシピというのはかなりあいまいですよね…

その中からコショウの味と香りが楽しめそうなものを紹介したいと思います。

5-1.ミネストローネ

5-2.カルボナーラ

5-3.長芋豚肉巻

 

5-1.ミネストローネ

ミネストローネ

まずはスープの定番、ミネストローネを紹介します。

ミネストローネは、イタリアの野菜スープで、一般的にはトマトスープが知られています。

野菜たっぷりの健康スープ、ぜひご家庭で作ってみて下さい!

材料:4人分

黒コショウ 適量
玉ねぎ 中2個
にんじん 3本
セロリ 1本
パセリ 適量
ウインナーソーセージ 12本
ミックスビーンズ 1缶
ニンニク 2片
トマトピューレ 小さじ1
トマト缶 2缶(カット、ダイス)
オリーブオイル 小さじ2
コンソメ 1個
赤ワインビネガー 小さじ1
砂糖 小さじ1

(1)玉ねぎとニンニクをみじん切り、にんじんとセロリをさいの目切りにする

(2)フライパンにオリーブオイルを熱して、1を全て入れ、弱火で10分炒める

(3)ソーセージを加えて、さらに5分炒める

(4)トマトピューレを加え、ひと炒めしたらトマト缶と、水をトマト缶の空き缶で3杯と1/3加え、コンソメを入れて10分煮込む

(5)ミックスビーンズを加えてさらに5分煮込む

(6)赤ワインビネガーと砂糖、パセリを加え、仕上げに黒コショウを振って完成!

 

5-2.カルボナーラ

カルボナーラ

パスタ料理の中でもひときわこってり感が際立つメニューですね。
最後に振られる黒コショウがさらに食欲をそそります。

結構簡単にできてしまいますので、一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか?

材料:4皿分

オリーブオイル 小さじ1
厚切りベーコン 250g
ニンニク 1片
玉子 4個
パルメザンチーズ粉末 1カップ
パスタ 400g
塩 小さじ2
黒コショウ 少々

(1)大きな鍋に湯を沸かす

(2)フライパンにオリーブオイルを熱し、中火で厚切りベーコンをこんがりするまで炒める

(3)ニンニクのみじん切りを加えて、ひと炒めする

(4)火を止めて、ベーコンとニンニクを大きなボウルに移す

(5)別のボウルに玉子を割り、パルメザンチーズ半カップを加えて混ぜ合わせる

(6)鍋の湯が煮立ったら、パスタを加えてアルデンテまで茹でる

(7)パスタが茹で上がったら、トングで素早くベーコンとニンニクのボウルに移す

(8)さっと混ぜ合わせたら、玉子とチーズを手早く加えてよく混ぜ合わせる

(9)塩気を確認して、必要であれば加える

(10)パスタ皿に取り、パルメザンチーズと黒コショウをトッピングする

 

5-3.長芋豚肉巻

長芋

実は長芋と豚肉の相性は抜群です。
長芋のとろみと豚肉の甘味がなんとも言えないハーモニーを生み出すのです。

長芋がちょっと苦手、という方にもおすすめのレシピです。

材料:4人分

豚バラスライス 200g
長芋 300g
ニンニク 2片
サラダ油 小さじ2
片栗粉 適量
砂糖 小さじ1
酒 大さじ2
醤油 大さじ1
塩 少々
黒コショウ 少々

(1)長芋を洗って皮をむき、長さ5センチ程度の千切りにする

(2)豚バラスライスを広げ、塩コショウする

(3)長芋を豚肉で巻き、片栗粉を軽く振る

(4)フライパンにサラダ油を熱し、ニンニクスライスを炒める

(5)肉巻を適宜転がしながら、焼き色をつける

(6)焼き色がついたら、弱火にし、酒を入れてふたをして3分待つ

(7)火を強めて砂糖、醤油を加え、ひと炒めしたら火を止める

(8)仕上げに黒コショウを振って完成!


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