ミョウガ

夏野菜や麺類にぴったり、日本を代表するハーブ「ミョウガ」


蒸し暑い夏に、氷水でしめたそうめんをいただくと、ああ日本はいいなあとつくづく感じることができます。

そのそうめんの付け合せとして人気なのがこの「ミョウガ」です。漢字では「茗荷」と書きます。

東南アジアや大陸から持ち込まれたものと思われますが、その原産地はよく分かっていません。

それでは和のハーブとして紹介されることも多いこのミョウガを詳しくみていくことにしましょう。

1.ミョウガの名前と歴史

2.ミョウガの香りや味

3.ミョウガの育て方

4.ミョウガの保存方法

5.ミョウガを使った料理レシピ

 

1.ミョウガの名前と歴史

ミョウガ

冒頭でも触れたように、ミョウガはアジアから持ち込まれたハーブです。

中国や東南アジア、さらにはインドでも野生種が自生しているようですが、現代では一般的に食用にしているのはおそらく日本だけです。

日本では人が生活しているところに植えられ、そのまま自生しているものもあります。これらのミョウガは遺伝的特徴から野生種ではない可能性が高いと判断されていて、それが持ち込まれた種であるという説になっている訳です。

ミョウガは漢名を蘘荷(ジョウガ)と言いますが、この名前は魏志倭人伝にも登場しているのですが、日本にもあるが食べないと書かれています。内容の真偽は分かりません。

このようにミョウガはかつて中国では食べられていたようなのですが、いつの頃からか食されなくなっていったようです。

和名については有力な説があります。ミョウガがショウガと一緒に日本に持ち込まれた時に、香りの強いショウガを兄香(せのか)、香りの弱いミョウガを(めのか)と呼んだものが、後にショウガ、ミョウガに転訛したものだという説です。

しかし、ミョウガの古名には他に「めが」というものがあり、「売我」「女我」などと書かれていました。「めが」が「みょうが」になったというのであれば、割と納得できるような気もしますね。

ミョウガ

ミョウガは奈良時代の皇族、長屋王邸宅跡から出土した木簡に、進物として「醤津名我」という漬物として登場します。醤油に似た醬にミョウガを漬け込んだものだと想像できますね。奈良と言えば奈良漬で知られていますが、その奈良で古くからミョウガの漬物が食べられていたようです。それと、この「名我」はミョウガと読んでいたのでしょうか。それともまだ「めが」だったのでしょうか…

また平安時代の書物「延喜式」にもミョウガの漬物が出てきます。奈良でも京都でも知られていたミョウガの漬物は、さぞかし美味しかったのでしょうね。

ミョウガはその後も盛んに栽培され、江戸時代には早稲田のあたりで獲れるミョウガは「早稲田みょうが」と呼ばれて人気がありました。当時の早稲田一帯は見渡す限りの田んぼとミョウガ畑だったそうです。

また現在の文京区に茗荷谷という地名がありますが、早稲田からこのあたりまでがミョウガ畑が広がり、そこから茗荷谷と呼ばれるようになったのです。

ところでこの茗荷という漢字はどこから来たのでしょうか。これは釈迦の故事に由来しています。

釈迦の弟子に周利槃特(しゅりはんどく)という人がいたのですが、物覚えが悪く自分の名前すら忘れてしまう状態でした。そこで名札(名荷と書く)をつけることにしたのですが、彼はその名札を掛けていることすら忘れてしまうのでした。

この名荷をミョウガと発音していたので、ミョウガの当て字となって定着したのです。

ミョウガを食べると物忘れがひどくなるという迷信は、この故事から生まれたのです

 

2.ミョウガの香りや味

ミョウガ

ミョウガはその花穂をハーブとして利用します。ミョウガの花穂は赤紫色をしていて見た目も鮮やかです。

また特有の香りがあって、食べるとシャキシャキした食感と爽やかな苦み、そしてほのかな辛みを感じます。

醤油のような味の濃いものと一緒に食べても、その風味がしっかり感じられるので、様々な料理にアクセントとして使われています。

一方でその茎に見える偽茎の部分も「みょうが竹」として利用されています。

こちらは人工的に栽培するもので、手間も時間もかかるためなかなかお目にかかることはありませんね…

 

3.ミョウガの育て方

ミョウガ

ミョウガはとても簡単に栽培できるハーブの一つです。

夏に田舎の家に行ってそうめんなどをいただく時に、よく庭からミョウガを採ってきてくれることがあります。植えたままで勝手に育ってくれるようですね。

春先に園芸店をのぞくと、ミョウガの苗が売られていますのでそれを利用します。

畑に直植えがベストですが、プランターを利用することもできます。その場合は大きめで深いものを使うようにして下さい。

プランターに野菜栽培用の土を入れ、苗を5センチ程度の深さに植え付けます。

ミョウガは湿気を好みますので、たっぷりと水やりをしましょう。日当でも日陰でも育ちますが、土が乾かないように気を付けましょう。

順調にいけば、夏の終わり頃から収穫できるようになります。土の中から花穂が頭を少し見せたら、花穂が閉まっているうちに収穫しましょう。

冬越しもできますが、水やりを欠かさないことが必要です。

 

4.ミョウガの保存方法

冷凍ミョウガミョウガは新鮮なうちに食べたいものですが、大量に獲れてしまった場合は冷凍保存がお勧めです。

獲れたミョウガを良く洗って、キッチンペーパーなどで水分を拭きとります。

そのままジップロックなどに入れ、しっかり空気を抜いて冷凍庫へ。これで1ヶ月以上は保存できます。

みそ汁などの汁ものに使う場合は、冷凍のまま調理することができますよ!その他は自然解凍で使いましょう。

 

5.ミョウガを使った料理レシピ

ミョウガは様々な料理に使われる魅力的な薬味ですね!

新鮮なものであれば、さっと洗って南蛮味噌をつけてバリバリ食べるのがおすすめです。刺激的な辛さが夏を感じさせてくれますよ。

さて今回はシンプルに調理できるレシピをご用意しました。短時間でさっとできますので、片手間でもオッケーです!

5-1.ミョウガのピクルス

5-2.キュウリとナスのさっぱり漬け

5-3.ナスとミョウガの味噌汁

 

5-1.ミョウガのピクルス

ミョウガピクルス

まずはミョウガの味をシンプルに楽しめるレシピです。

夏の蒸し暑い季節には、このような酢の効いたミョウガはピッタリです。

簡単にできますので、料理の付け合せにもおやつにも使えますよ!

材料:5個分

ミョウガ 5個
黒コショウ 5個
乾燥赤唐辛子 1本
酢 大さじ3~4
砂糖 大さじ2

(1)ミョウガをよく洗う

(2)小鍋に湯を沸騰させて、ミョウガを30秒茹でてザルに取る

(3)小鍋に黒コショウ、乾燥赤唐辛子、酢、砂糖を入れて、一度沸騰させて火を止める

(4)耐熱タッパーに沸騰したタレとミョウガを入れ、粗熱が取れたら冷蔵庫で1日置く

(5)ミョウガが赤く、少し柔らかくなっていれば完成!

 

5-2.キュウリとナスのさっぱり漬け

キュウリとナスのさっぱり漬け

こちらは昔ながらのミョウガのレシピですね。

昭和の時代、夏にはこのような浅漬けがよく出てきたものです。

ミョウガの風味がキュウリとナスにぴったり。夏野菜のみごとなコンビネーションです!

材料:2人分

ナス 大1本(中2本)
キュウリ 1本
ミョウガ 中2個
塩 適量
大葉 1枚

(1)ミョウガをよく洗って、縦に薄切りにする(または縦半分にしてから縦に薄切り)

(2)ナスを輪切り(または縦半分にしてから薄切り)にして、塩水に20分さらす

(3)キュウリを輪切りにして、塩をひとつまみ加えて塩もみする

(4)ナスを水切りして、塩ひとつまみで塩もみする

(5)大葉を千切りにする(盛り付け時でよい)

(6)ボウルにミョウガ、ナス、キュウリを入れ、混ぜ合わせてからピッタリとラップをする

(7)ラップの上からサイズの合う皿を逆さ向きで置き、上から重しをする。適当なものが無い場合はペットボトルに水を入れて乗せる

(8)2時間ほど置いてから、皿に盛り、大葉をのせて完成!

 

5-3.ナスとミョウガの味噌汁

ミョウガは味噌汁にもよく合います。刻まずに入れても美味しいですが、今回はナスと合わせてみました。

こちらも昔からある懐かしい味噌汁なので、何だかホッとする気持ちになれます。

材料:2人分

ミョウガ 2個
ナス 1本
出汁 400cc
味噌 大さじ1~2(お好みで)

(1)ミョウガをよく洗って、縦半分にしてから千切りにする

(2)ナスを縦半分にしてから薄切りにする

(3)鍋に出汁を入れて沸騰させる

(4)沸騰した状態の鍋にナスを入れて1分半煮る

(5)火を止めて、味噌を溶き入れる

(6)お椀に取り分け、ミョウガの千切りを盛ったら完成!


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